微妙

なんとも微妙。
というか絶妙。
なんなんだこの立ち位置は。
恐らくバス停横の「子連れ」、奥の「黒」、手前の「白」の順でバス停に到着したと考えられる。




まず「子連れ」がバス停からやや距離をおいてなお、しっかり道路側に寄って待つ。
続いて「黒」がバス停に到着し「子連れ」に続いて並ぼうとしたが、「子連れ」がバス停に隣接していなかったがために「黒」は「子連れ」のすぐ横には並べなかった。何故ならそこには電柱があるからだ。仕方がなく「黒」はバス停に並んでいる事を誇示できるギリギリの位置、電柱ちょい手前の壁側でバスを待つ事にした。
続いて現れた「白」だが、さてどうする。バス停にはどうやら二人並んでいるようだ。順当に並ぶなら「黒」の向こう側に行くべきだが、「黒」は電柱とタッグを組んでその道を塞いでいる。向こうから来るバスを待っているのだろうか、こちら側を向く気配は無い。さらに雨で足音も聞こえない。かといって大声を出してまで道を譲ってもらう程の事ではない。「黒」の次なんだ、と示威出来ればそれでよいハズだ。ならばここで良いじゃないか。道を塞いでも構わない。私は「黒」とは違って周囲に気を配っている。もし、この道を通りたい人がくれば即座に道を譲る用意は出来ている。その人は「黒」も押しのけて、この道を通るだろう。やはりこの場所が良い。「白」はバス停ちょい手前の壁側でバスを待つ事にした。
次に現れた「俺」は、困惑した。昨日は良く眠れた。体調は良い。これからいつもの通勤経路を使って都内までのんびり向かうだけのハズだった。そこにはなんの戸惑いも躊躇も感じる事は無い、ハズだったのだ。なんなんだ。バス停待ちからどうしてこれほど悩まなくてはならない?誰に向けるでもない感情を抱きながら、この文章を書く。ふと気付く。あ、もう新橋やん。
実にのんびりと都内に来る事が出来た。




拙い長文をよくぞ読んで下さいました。
「俺」の立ち位置は、写真を参考に。